政府の原発推進方針に対する意見書を提出
生活クラブは、1986年に起きた「チェルノブイリ原発」事故をきっかけに、生産者と連携し食品における独自の放射能基準を設けて取り組みを行なっている消費生活協同組合です。2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発の事故で深刻な放射能汚染が広がった以降は、提携生産者への支援、市民団体と連携して原発事故被害者救済や脱原発社会をめざす活動を展開しています。
政府は2022年8月24日に「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で原発の再稼働や運転期間の延長、次世代革新炉の建設による原発の新増設やリプレースなど、原発推進方針を表明したことを受けて、これに対する意見として、内閣総理大臣および経済産業大臣兼GX実行推進担当大臣宛に意見書を送付しました。
生活クラブ生協大阪が送付した意見書は以下の内容です。
政府は2022年8月24日に「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で原発の再稼働や運転期間の延長、次世代革新炉の建設による原発の新増設やリプレースなど、原発推進方針を表明したことを受けて、これに対する意見として、内閣総理大臣および経済産業大臣兼GX実行推進担当大臣宛に意見書を送付しました。
生活クラブ生協大阪が送付した意見書は以下の内容です。
2022年11月21日
内閣総理大臣 岸田文雄 様経済産業大臣兼 GX 実行推進担当大臣 西村 康稔 様
政府の原発推進方針に対する意見
生活クラブ生活協同組合大阪
理事長 清水啓子
生活クラブ生活協同組合大阪は、「食の安全」「環境・エネルギー」「たすけあい」などの社会に ある問題解決に積極的に取組む活動をする生活協同組合です。大阪は福井県の原発群からは 80km〜 100km に位置し、琵琶湖を水源とする地域に組合員は生活しています。
政府は 8 月 24 日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、原発の再稼働や運転 期間の延長、次世代革新炉の建設による原発の新増設やリプレースなど、原発推進方針を表明しまし た。福井の原発群にもある 40 年を超える老朽原発の再稼働も含まれており、そこから決して遠くない 大阪の地で暮らす私たち組合員の暮らしの安全を脅かすものとして強く反対し撤回を求めます。「原発 依存を可能な限り低減する」としてきたエネルギー政策を、脱炭素やエネルギー安全保障を口実に、 議論なしに転換するべきではありません。
原発は事故を起こしました。この重大性を記憶し継承するべきです。東日本大震災による東京電力 ㈱福島第一原発の事故は、果ての見えない事故処理を次世代、さらに先の世代にまで残してしまった 人災です。多くの住民は地元に戻れず地域コミュニティーは失われました。汚染水(トリチウム水) の海洋放出は、反対の声を押し切ってすすめられており「食」の安全に取り組む生協としても到底容 認できません。
政府は「使用済み核燃料」の核燃料サイクルが破綻していることを認めなければなりません。金属 ナトリウム漏洩による火災事故を起こした「もんじゅ」の廃止措置を決定し、青森県六ケ所村の再処 理工場の稼働が見通せない状況を踏まえれば、7 基の原子力発電所を再稼働すると途端に、行き場の ない「使用済み核燃料」を産み出し続けることになります。これらの問題を抱えたまま、原子力産業 の温存をはかるための原発再稼働を推進することは決して容認できず、すぐにでも止めるべきです。
福井にある運転開始から 47 年経った高浜 1 号機、46 年経った2号機の再稼働は重大な事故につな がる恐れがあります。取り換えのできない部品の経年劣化、中性子照射による原子炉容器の劣化を過 小評価することはあってはなりません。地元の住民はもちろん、周辺に暮らす人たちを危険に晒す老 朽原発の再稼働は止めるべきです。
今回の政府の独断とも言える原発推進への方針転換は、電力需給逼迫を理由としていますが、原発 推進はその本質的な解決策との関連はありません。2030 年までに CO2 の大幅削減を進めるためには、 危険な上にコストも高い原子力から脱却し、計画から運転開始までの期間が短くコストも低い再生可 能エネルギーの拡大とエネルギー利用の効率化、分散型エネルギーシステムの構築、石炭火力発電の 廃止と石炭火力新規稼働の中止を最優先にすすめるべきです。
以上