「ごはんっておいしいよね‼ ~米沢郷牧場の生産者のはなし~」№2
7月14日、米沢郷牧場の生産者3名による研修会を開催しました。
消費材委員と理事合わせて18名が参加しました。
例年、生産者から直接お話が聞ける場として学習交流会を開催し今年も計画していました。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のためやむなく参加者数を制限して少人数での研修会としました。
研修会の様子を3回に分けて報告します。
今回、2回目です。
北澤さんにお米の栽培方法について話を聞きました。
米沢郷牧場には20代~80代 の幅広い年代の生産者がいます。
栽培基準は一般に栽培されているお米とはかなり違います。
こんなに違うお米の栽培方法
種子の選別
まずは種子の選別です。
塩水につけて浮いた種は取り除いて充実度の高い(身の詰まった)種を選びます。
一般の農家ではやっていないところもあります。
その後60℃で5分間、種子消毒をします。
一般的には農薬で殺菌するそうです。
その後水に浸けて冷却しそのまま出芽のため20日浸けます。
一般的には水漬けは3~4日だそうです。
播く種の密度
加熱処理した土に有機肥料を加えたものに種を播きます。
その種の量が一般とは大きく異なります。それが後の植え付けにも影響します。
米沢郷牧場では 30✕60深さ4センチの箱に60~100g の種を播きます。
種と種の間隔に ゆとりがあるので、苗は横にも上にも成長できます。
一般は同じサイズの箱に150~200g(300gということも)の種を播きます。
過密になってイネの病気が発生しやすくなるので、農薬で防ぎます。
また、苗は横に広がれないので、上にだけ伸びることになります。細く伸びた苗を早い段階で植え付けをします。
田植え
米沢郷米は田んぼへの植え付け本数も坪当たりの株数も一般と比べてかなり少なくしています。
栽培密度が低いため光が当たり、風が通りやすいので病虫害の被害を受けにくく丈夫に育ちます。
一般の田んぼは過密になっているので植え付けの最初から青々として見えるのに対し、米沢郷米は間隔をあけて本数も少なく植えているのでかなりスカスカ状態の田んぼです。
(写真:奥の青々としているところが一般の田んぼで、手前の水がたっぷりの池のようなところが米沢郷の田んぼです。よく見ると苗があります。)
堆肥
堆肥は自家製のものを使用しています。
一般的な栽培では堆肥は使わず、土作りをしないところが多いです。
いかに手間をかけず早く収穫するかを考えているようです。
肥料は元肥(もとごえ=田植えの前に入れる肥料)、追肥(ついひ=元肥を使い切ったあたりの 7月にはいってから使う肥料)を使用しています。
有機質100%の土地にあったものを使っています。
一般の栽培では化学肥料を使用しているようです。
その肥料は1回まけば苗の成長に合わせた成分の肥料がずっと出てくるようで、追肥もしていないかもしれません。
農薬
農薬は一般的には20成分前後(都道府県で違う)使用しているようですが、米沢郷米は1回(3成分以内)と基準を決めています。
雑草対策
雑草対策にも工夫を凝らしています。
紙マルチ田植え (再生紙を黒く染めたものを敷いて雑草抑制する)をしたり、マグロ用の電動リール釣り竿を使い線を引っ張り小さい雑草を浮かせて枯らすという方法(そのため田んぼには水が
たっぷりとはっている)を取り入れています。
常に研究を重ねる
米沢郷米の生産者は 他の生産者が作った苗をお互い見て毎年勉強会をしています。
土の成分分析をしCa、Mg、Fe(カルシウム・マグネシウム・鉄)などの量と成育を比べ、土に何を足すかを考え実践しています。
日々おいしいお米を作るため研究、努力を重ねていることがわかりました。
田んぼの生きもの
米沢郷米の生産者の田んぼにはいろんな生きものが生息しています。
代掻き(田植えのために、田に水を入れて土を砕いてかきならす作業)の前に田に入り込んだなまず、鯉をつぶさないように 捕獲します。
田には餌が豊富なので鯉が入り込む。それを追ってなまずも入り込むということで恒例の作業となっているようです。(楽しそうでした。)
一般的な栽培をしている田んぼには入り込まないとのことです。
ヤゴもいます。
稲一株に十数匹ついていることもあります。
秋にはトンボが飛び交っていることでしょう。
隣の一般的な栽培の田の株にはヤゴはついていません。
農薬の影響を受けているということでしょうか?
生きものの生息できる田んぼで育てられたお米を食べたいと思いませんか。
行き先がわかっているから作るのが楽しい
北澤さんは農業25年目。
米作りに興味はなかったが、伊藤代表に声をかけられてどんどん作って今に至っているとのこと。
生活クラブでは米沢郷米の93%が登録で食べられています。
「行き先があるということで、思い切って種がまける、農業ができる」と話していました。
普通の農家はいくらで販売されているのか、どんな人が食べるのかわからないまま作っています。
しかし私たちは登録という仕組みがあり、決まった数量、価格でお互いの顔が見える関係を築いています。
その取り組みは若手にも伝えていきたいと話していました。
手間暇を惜しまず、研究を重ね、日々努力をされている米沢郷米生産者の話を聞き、このお米を食べ続けたいと改めて強く思いました。
生産者が仲間を増やし作り続けるとともに、私たちも食べる仲間を増やし、トンボが飛び交ういろんな生きもののいる田んぼを増やしていきたいです。
【2020年8月17日掲載 消費材委員会】
消費材委員と理事合わせて18名が参加しました。
例年、生産者から直接お話が聞ける場として学習交流会を開催し今年も計画していました。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のためやむなく参加者数を制限して少人数での研修会としました。
研修会の様子を3回に分けて報告します。
今回、2回目です。
北澤さんにお米の栽培方法について話を聞きました。
米沢郷牧場には20代~80代 の幅広い年代の生産者がいます。
栽培基準は一般に栽培されているお米とはかなり違います。
こんなに違うお米の栽培方法
種子の選別
まずは種子の選別です。
塩水につけて浮いた種は取り除いて充実度の高い(身の詰まった)種を選びます。
一般の農家ではやっていないところもあります。
その後60℃で5分間、種子消毒をします。
一般的には農薬で殺菌するそうです。
その後水に浸けて冷却しそのまま出芽のため20日浸けます。
一般的には水漬けは3~4日だそうです。
播く種の密度
加熱処理した土に有機肥料を加えたものに種を播きます。
その種の量が一般とは大きく異なります。それが後の植え付けにも影響します。
米沢郷牧場では 30✕60深さ4センチの箱に60~100g の種を播きます。
種と種の間隔に ゆとりがあるので、苗は横にも上にも成長できます。
一般は同じサイズの箱に150~200g(300gということも)の種を播きます。
過密になってイネの病気が発生しやすくなるので、農薬で防ぎます。
また、苗は横に広がれないので、上にだけ伸びることになります。細く伸びた苗を早い段階で植え付けをします。
田植え
米沢郷米は田んぼへの植え付け本数も坪当たりの株数も一般と比べてかなり少なくしています。
栽培密度が低いため光が当たり、風が通りやすいので病虫害の被害を受けにくく丈夫に育ちます。
一般の田んぼは過密になっているので植え付けの最初から青々として見えるのに対し、米沢郷米は間隔をあけて本数も少なく植えているのでかなりスカスカ状態の田んぼです。
(写真:奥の青々としているところが一般の田んぼで、手前の水がたっぷりの池のようなところが米沢郷の田んぼです。よく見ると苗があります。)
堆肥
堆肥は自家製のものを使用しています。
一般的な栽培では堆肥は使わず、土作りをしないところが多いです。
いかに手間をかけず早く収穫するかを考えているようです。
肥料は元肥(もとごえ=田植えの前に入れる肥料)、追肥(ついひ=元肥を使い切ったあたりの 7月にはいってから使う肥料)を使用しています。
有機質100%の土地にあったものを使っています。
一般の栽培では化学肥料を使用しているようです。
その肥料は1回まけば苗の成長に合わせた成分の肥料がずっと出てくるようで、追肥もしていないかもしれません。
農薬
農薬は一般的には20成分前後(都道府県で違う)使用しているようですが、米沢郷米は1回(3成分以内)と基準を決めています。
土づくり | 種子消毒 | 田植え時の坪あたりの株数 | 除草剤 | 肥料 | 殺虫剤 | |
米沢郷米 | 地域内で作る完熟堆肥 | 温湯処理 | 50株 | 1回(3成分以内)のみ | 100%有機肥料 | 不使用 |
一般的な栽培 | なし・堆肥、鶏ふん | 農薬液につける | 70株 | 使用している 回数・成分数不明 |
化学肥料 | 使用している 回数、成分数不明 |
雑草対策
雑草対策にも工夫を凝らしています。
紙マルチ田植え (再生紙を黒く染めたものを敷いて雑草抑制する)をしたり、マグロ用の電動リール釣り竿を使い線を引っ張り小さい雑草を浮かせて枯らすという方法(そのため田んぼには水が
たっぷりとはっている)を取り入れています。
常に研究を重ねる
米沢郷米の生産者は 他の生産者が作った苗をお互い見て毎年勉強会をしています。
土の成分分析をしCa、Mg、Fe(カルシウム・マグネシウム・鉄)などの量と成育を比べ、土に何を足すかを考え実践しています。
日々おいしいお米を作るため研究、努力を重ねていることがわかりました。
田んぼの生きもの
米沢郷米の生産者の田んぼにはいろんな生きものが生息しています。
代掻き(田植えのために、田に水を入れて土を砕いてかきならす作業)の前に田に入り込んだなまず、鯉をつぶさないように 捕獲します。
田には餌が豊富なので鯉が入り込む。それを追ってなまずも入り込むということで恒例の作業となっているようです。(楽しそうでした。)
一般的な栽培をしている田んぼには入り込まないとのことです。
ヤゴもいます。
稲一株に十数匹ついていることもあります。
秋にはトンボが飛び交っていることでしょう。
隣の一般的な栽培の田の株にはヤゴはついていません。
農薬の影響を受けているということでしょうか?
生きものの生息できる田んぼで育てられたお米を食べたいと思いませんか。
行き先がわかっているから作るのが楽しい
北澤さんは農業25年目。
米作りに興味はなかったが、伊藤代表に声をかけられてどんどん作って今に至っているとのこと。
生活クラブでは米沢郷米の93%が登録で食べられています。
「行き先があるということで、思い切って種がまける、農業ができる」と話していました。
普通の農家はいくらで販売されているのか、どんな人が食べるのかわからないまま作っています。
しかし私たちは登録という仕組みがあり、決まった数量、価格でお互いの顔が見える関係を築いています。
その取り組みは若手にも伝えていきたいと話していました。
手間暇を惜しまず、研究を重ね、日々努力をされている米沢郷米生産者の話を聞き、このお米を食べ続けたいと改めて強く思いました。
生産者が仲間を増やし作り続けるとともに、私たちも食べる仲間を増やし、トンボが飛び交ういろんな生きもののいる田んぼを増やしていきたいです。
【2020年8月17日掲載 消費材委員会】