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八ケタ会生産者に寄り添う会

八ケタ会生産者に寄り添う会 参加報告
理事長 浅井由起子

【八ケタ会と生活クラブ生協大阪】

私たちはりんごの生産者である八ケタ会と50年近い産直関係を築いてきました。
8月末に届く早生種の「つがる」に始まり中生種の「シナノドルチェ」「紅玉」「秋映」「シナノスイート」「王林」そして冬本番の11月末から届く「ふじ」。
これらは私たち組合員の「おいしいりんごが食べたい」「環境にも人体にも配慮して農薬は減らしてほしい」という希望を実現するために「食べごろが届くように適熟出荷する」「おいしさを追求する無袋栽培」「環境ホルモン疑惑農薬は使わない。必要最低限の農薬しか使わない」ということを行っています。
手間暇のかかるこれらの栽培を可能にしているのは、長い間組合員が「登録」して契約量を食べきる約束をしているからです。



【台風19号による大きな被害】

2019年10月台風19号により千曲川が氾濫し八ケタ会生産者17名のうち、赤沼地区に住む10名の生産者は、りんご畑に泥水が浸水し、「ふじ」の収穫ができなくなってしまいました。
ご自宅にまで床上浸水し、全員避難所暮らしを余儀なくされました。

この大変な状況を受けて、生活クラブの関西6生協と生活クラブ関西の職員、生活クラブ関西6生協と産直関係にある複数の生産者が週末に合計7回にわたって、長野市赤沼地区に入り復旧作業を手伝いました。
泥水を吸った家財道具や農作業の道具は、ある程度の腕力がないと処理できない重さであり、力仕事が主になることから、女性が主である組合員は復旧作業には参加しませんでした。
しかし生産者を気遣う組合員からの声は大きく、また生産者自身も暮らしの立て直しに疲れてしまい、今後のりんご作りへと気持ちを向けることができなくなった時もありました。


※生活クラブの関西6生協・・・生活クラブ生協大阪、京都エル・コープ、奈良、滋賀、エスコープ大阪、都市生活


【生産者に寄り添う会の開催】

2020年2月21~22日、長年八ケタ会の皆さんと一緒に活動してきた組合員有志が「私たちは八ケタ会のりんごを待っています」という気持ちを伝える「生産者に寄り添う会」として訪問しました。
メンバーは、生活クラブ 生協大阪、京都、奈良、滋賀の組合員合計18名、生活クラブ関西の職員2名、合計20名でした。


2月21日に会を開催し、訪問団長の挨拶後、台風19号の被害のために生活クラブ関西6生協に寄せられたカンパ金から1,500万円を、特に被害の大きかった八ケタ会に贈ることにしましたので目録としてお渡ししました。
その後各自自己紹介をした後は、生産者一人ひとりから近況をお話ししていただきました。




避難当時の話は、状況が様々でした。
「大丈夫だろう」と高をくくって寝てしまい、家族に夜中にたたき起こされて一命をとりとめた人、夜の早いうちから高価な農作業用の機械を堤防の上に移動させていたために被害が少し少なくて済んだ人。
10名中現在は4名が自宅に戻って生活できていますが、残りの6名の方は親戚宅などに身を寄せたりして、そこから畑に通われています。
自宅に戻られている方も1階はまだ泥だらけで2階で生活されていたり、倉庫の2階を改装して生活されていたりとまだまだ日常に戻るには遠そうです。
それでも皆さん(特に女性)は明るく前を向いて今できる作業をされていました。
畑は泥水のせいでダメになった木もありますが、おおむね20年度のりんごの栽培には影響はないだろうという予想ではあります。
ただ現時点では、消毒用の機械が赤沼地区全体で不足している状況で、消毒が間に合うかどうかが不安とのことでした。


被害にあった生産者10名のうち3名は70歳以上、3名は60歳以上という年齢で後継ぎがいない人もいるため、一番大変だった時は、「もうりんごは作られないのではないか」と気落ちすることがあったそうですが、そんな中でも前を向けたのは、生活クラブ生協が「登録」という形で「食べる量を約束して、その量を食べきってくれる人がいること」だと語ってくださいました。
多くの組合員は農業をしないし、身近にも農業者がいないという人だと思います。
ですからこの言葉の意味を理解することは難しいのかもしれません。
「登録して食べきっている」といっても実態は「登録」を紙面上で呼びかけしても全量申し込みがあるわけではないので、職員が電話かけをしたり、配達時に呼びかけたりして「契約量を売り切る」ことが現状です。組合員側は「先の予定が立たないので登録しない。職員が御用聞きのように注文を取ってくれるのでその時に申し込めばよい」となってしまい「登録することの意義」が伝えられず悪循環になっているのが現状です。
生産者にとっては手間のかかる栽培方法を実践しても必ず売り先が確保されていることは、次年度への栽培意欲になり、毎年安定して収入が得られることから後継者が出てくることにつながります。
組合員側の「先の予定が立たない」のはそうかもしれませんが、肉や魚のようにすぐに腐敗するものでもないので、りんごを食べる習慣があるならば、月に一回くらいを目安に登録しましょう。


ほかの生協にはない生活クラブの「登録」について、生産者がとても信頼してくれているのを目の当たりにして、その大切さを再認識した、今回の訪問でした。




【生産者の自宅や畑の視察】

翌日2月22日は生産者の畑やご自宅を見せていただきました。
畑では泥をかぶったために収穫できなかったりんごが木の下に落ちていてそこに驚くほどの数のムクドリがやってきてついばんでいて、鳴き声がうるさいほどでした。
泥水をかぶったりんごの木は、まだうっすらと泥が残っている様子でした。
「『木に雪が積もるので春になれば雪が解けて泥も落ちるだろう』と思っていたら、今年はほとんど雪が積もらないので、当てが外れた。でも泥がうっすら残っていても芽が出てきているし、味にも影響はなさそうだ」ということでした。




ご自宅を3軒見せていただきましたが、一階部分の天井近くまで泥水が押し寄せた形跡が壁の跡で伺えました。
どのお宅も床をめくりあげて、工事を進めておられました。土壁がはがれてしまっているお宅や、家を取り壊す決断をした方もいました。
農機具については県や市から9割くらい補助が出るだろうとのことですが、住宅についてはあまり期待できないそうです。
このような場合ときの「公助」について考えさせられました
東京など首都圏からボランティアの方が来ているお宅もあり「共助」が実践されていました。




【最後に】
ご自宅まで被害にあわれた生産者の方々が、前を向いてりんご作りに向かっておられたことに、ほっとしました。
また、長く活動を通して交流のあった組合員と会って、懐かしそうに楽しそうに、また涙もまじえ話しておられる姿を見て心打たれました。
生産者と私たち組合員の絆を感じました。
この信頼関係は一朝一夕で築かれるものではありません。
私たちが今おいしいりんごを食べられるのはコツコツと積み上げてきた信頼関係によるものだということを強く感じました。
被害のなかった豊野地区の生産者は、組合員への出荷を一手に引き受けてくださったそうで、たすけあって八ケタ会を運営されている様子もうれしかったです。
日々忙しく暮らしている組合員が増えている中、計画的に暮らすことが求められる「登録」というシステムは「現代に合わない」という意見が見受けられますが、私たちが欲しいものを手に入れられる手段です。
「こんな作り方をしてほしい、こんなのが欲しい」と一方的に生産者に注文を付けて買うだけの関係では得られない農産物である、ということを理解して「登録」する組合員を増やしていかなければ、「生活クラブの安全でおいしい農産物」は持続可能な栽培にならないと感じました。


今年はりんごが少なくとても寂しく感じました。
私たちの食べる約束(登録)が生産者の力になります。カンパ金も喜んでいただけたとは思いますが、登録して食べるよという意思表示はさらに大きな力です。




 

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