2018年 八ケタ会「つがる」と「巨峰」の目合わせ報告
生活クラブ生協大阪のりんごと巨峰は、長野県の「八ケタ会」から届けられています。
八ケタ会は長野県の北東部、長野市の豊野町と赤沼にある20数名の生産者からなるグループです。
2018年夏は厳しい猛暑日続きでしたが、今年も実りの秋が近づいてきています。
毎年、8月末頃に組合員と生協の職員が産地に出向き、生産者からその年の産地の天候や生育状況を聞きながら、その年の出荷基準を決めます。これを「目合わせ」と言います。
見映えよりも味本位で適熟出荷を行いますが、食味にかかわるキズや出荷時点では果肉に影響がなくとも2~3日で傷みがひろがるような病害果は厳しく選別しなくてはなりません。
そのため、りんごを見ながら、一緒に話し合って「これは出荷しない」「これなら出荷OK」と今年の作柄に応じて、出荷基準を決めていきます。
さて、今年も8月25日~26日に産直交流部会担当理事が目合わせに参加してきました。猛暑の大阪から車で約6時間。長野県に入れば少しは暑さがやわらぐのかと思いきや、ここでもまた暑さが待ち受けていました。本当に今年の暑さはどこに行っても逃れようがないようです。長野県の北部なのに、日中の気温は連日35度前後。夜も23度前後と気温が下がらず、寒暖差がほとんどありません。果実は寒暖差が大きいほど赤く色づき、甘みも増して美味しくなるので、そろそろ気温が下がってほしいと願うばかりです。
ただ、お盆明けから4日ほど、最低気温が17度前後と20度をわった日があり、その頃につがるは赤く色づき、つがるらしくなっていました。
6月以降、降雨もほとんどないということで、今年は産地にとっても大変厳しい年のようです。生産者は「自然相手だから仕方がない」と苦笑しながらも、園地を案内する顔はいつになく険しい表情です。
まず、干ばつによる乾燥でりんご園ではダニが発生しています。ナミハダニと言って、葉っぱの裏側に寄生します。葉っぱがしっかり光合成することでりんごは大きく甘くなります。その葉っぱがダメになるので、実は大きくならず、色づきも悪くなります。
また雨が降ってないので、畑の水不足によりりんごの玉伸びも悪いそうです。このままいけば、全体として小玉が多いことになりますが、目合わせでは、あまりに小さいサイズは加工用とし、小さいものも例年通りのサイズまでとしました。ただ、小さくても、甘みが濃縮されて味は良いとのこと。
日照りにより、日焼け果も多くなっています。皮の表面が赤茶色になって、人間の日焼けと同じ。日焼けした皮の内側の果肉は組織が壊れて茶色くブヨブヨになっているので、出荷しません。玉回しと言って、ふじなどは全体を赤く色づかせるために、日光が満遍なくあたるよう実を回しますが、つがるの芯は枝とついてる部分が弱いので玉を回しません。だから、日光が当たる所には始終当たってしまいます。
また、今年はサビ果もかなり多いとのこと。サビ果とは、りんごの皮の表面が所々に黄色から赤茶色のザラザラとした皮になった状態を言います。ちょうど幸水梨の皮のようです。サビ果は、花が咲いた頃に、花が凍ってしまうほどの強い霜の害を受けると発生しやすくなります。品種によって入りやすいものと、そうでないものとがあるそうですが、特に「秋映」に多く見られます。つがるもかなりやられてしまっていますが、サビ果は皮を剥けば中は何の問題もなく食べられます。しかし、見た時にちょっと驚かれるので、サビの部分が全体的に回っているようなものは出荷しません。
最後に巨峰ですが、ぶどうは元々乾燥地帯で生育するものなので、干ばつによる影響は受けていません。多湿だと起こりやすいベト病(葉っぱの早期落葉)及び、晩腐病(ばんぷ病:実が茶色くシワシワになる)の心配もなかったとのこと。糖度の高い良い巨峰が多く出荷できそうです。ただ、2017年1月の大雪でぶどうの棚が押しつぶされる被害が一部の生産者であり、それから全部が復旧できたわけではないので、出荷量は通年通りかと思います。
以上のように、今年のりんごは厳しい状況となりましたが、何故そうなっているのかを知っていただければ幸いです。日本全国で猛暑がニュースにならなかった日はないほどの今夏。その暑い中毎日畑に足を運び、樹の様子をチェックし、水やりを行なって大事に育てられたりんご達です。
こんなに気象状況が悪くなると、病気や害虫の発生が想定以上に広がることがあります。
そんな状況でも、慣行栽培なら農薬を沢山使って被害をかなり防げます。
八ケタ会のりんごは、私達と約束した減農薬栽培を守っている生産者の作ったりんごです。
ぜひ、多くの組合員で利用して産地に元気を届けていきましょう!
産産直交流部会担当理事 柳川久美子