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F・C(ファーマーズクラブ)赤とんぼ 訪問視察、塩水選作業体験報告③(2018年3月25日)

生活クラブ生協大阪の米沢米とラ・フランスやさくらんぼの生産者団体であるF・C赤とんぼと米沢郷牧場。地域を挙げて循環型農業に取り組み、若い生産者が就農しています。無農薬米にも取り組む技術力の高さ、米や果物のおいしさ、地域を挙げて環境を守る農業を行っていることは、会員の皆さんが同じ志を持っているからこそだと感じていました。今回、農薬を減らす作り方のための塩水選や温湯消毒を体験する機会に恵まれましたので、ご報告します。

 2泊3日かけての訪問体験の最終日です。

理事長 浅井由起子

○3月25日(日)

9時 横山副社長の圃場(ラ・フランス、さくらんぼ、りんご)を視察。栽培上の特徴などの説明を受けた。

レポート【果樹圃場視察】

 横山氏のラ・フランスとさくらんぼ畑を視察しました。BMW活性水と鶏糞で作った堆肥を投入している土は柔らかでした。おいしい果物づくりに土づくりは重要と聞いていますが、赤とんぼの果物のおいしい理由がわかりました。木で成る果物は、完全な無農薬では作る事はできないのですが、赤とんぼでは山形県の防除の半分、除草剤は使わずに栽培しています。果物の苗木づくりには3年かかります。老木になると裏年が出てきて果物が身を漬けなくなる年が出てきます。土のミネラルバランスを保つように手入れしたり、30年を目安に新しい木に更新したりしないといけません。その他にも、果物のおもみや雪で枝が折れたりしないよう支柱をつけたり、枝を落としたり、芽や実を間引いたり、寒い中ずっと観察していなければおいしい果物はできないのだな、と感じました。一昨年さくらんぼが不作だった時には他の取引先よりも生活クラブの受注を優先してくれた横山さん。それは年間で予約して食べていることや、産直春のつどいや生協フェスタ、生産者交流会で年に数回顔を合わせる信頼関係があるからこそです。収穫前に価格を決めていますので、市場が安くなった場合、高い価格で利用することがあります。だからこそ価格だけでない、作り方や味への評価をして食べている組合員がいるからこそ優先的に出荷してくれたのです。

不況になると果物は真っ先に家計節約のために切り捨てられるようです。また最近のスイーツブームで甘味はスイーツで摂る、ケーキに乗っている果物は食べるけれど、剥くのが面倒、などと言う声も耳にします。けれど、季節を感じさせてくれる、自然の甘さを大切にしていきたい、と思います。果物を剥いて食べる時間の余裕を大切にしたいと思います。

10時 飼料用米保管庫を視察。

10時半 ファーマーズ・クラブ赤とんぼ事務所へ。F・C赤とんぼのライスセンター、精米所を視察。

レポート【ライスセンター、精米所】

 赤とんぼの事務所に併設されているライスセンターの視察を行いました。ライスセンターとは、稲刈りから乾燥までを行う施設で、赤とんぼでは会員の皆で共同で利用しています。建設のきっかけは、農業の高齢化と無関係ではありませんでした。地域の農家で稲刈りがきつくなってきたというお年寄りが増えてきて、このままでは休耕田が増えてしまう、地域の農業を衰退させないで田園風景を守っていきたいという気持ちから、地域で農作業を助け合える仕組みづくりと、高価な機械類を共同で使えるようにライスセンターの建設に取り組んだそうです。農作業を助け合う仕組みとは、「F・C赤とんぼ」という組織をを立ち上げ、自分で米作りをしない職員が高齢の会員の田んぼの作業を行う、という仕組みです。稲刈り時期はどの田んぼでも同じような時期になるので機械や乾燥機が取り合いにならないのか、質問したところ、米沢では皆果物も作っていてブドウ、サクランボ、ラ・フランス、リンゴなど種類が違うために必要な作業も少しずつ違いがあり、そのおかげで米の作業にずれが生じるので機械類の使用時期が分散するのだそうです。

  収穫後の米を貯蔵している冷蔵庫はもちろん、温度や湿度がデジタル表示の機械で管理されていました。また乾燥機、精米機以外にも、金属探知機、ガラス選別機、色彩選別機、髪の毛選別機、食味計、品質判定機などが導入されていて、コストをかけておいしい米を作ろうとされていました。

10時半   F・C赤とんぼ事務所にて、米沢郷牧場グループの成り立ちと組織体系、F・C赤とんぼの米づくりのプレゼンテーションを受ける。

レポート【米沢郷牧場グループのプレゼン、意見交換】

 赤とんぼ事務所で伊藤幸蔵氏から沿革を説明していただきました。

地域循環型農業を行っている赤とんぼと米沢郷牧場は、周りを山に囲まれ、田んぼが広がり傾斜地では主にブドウ栽培がおこなわれていました。もともと農家グループが多い土地柄でしたが、作家の有吉佐和子さんとつながりができたことによって「農薬を減らそう、食品添加物や合成洗剤をやめよう」と考えるようになっていきました。1975年に売り先を求めて首都圏に出向き、そこでパルシステム生協と出会いつながりを持ちました。生協のような組織を持ちたいと思い米沢郷牧場を立ち上げたのが伊藤氏の父です。赤とんぼは伊藤氏が27歳の時に設立しました。

 2012年を国連が国際家族農業年としたように、世界の飢餓を救うためには家族経営の農家が多様な作物を安全な農法で作り、その土地の生態系を維持していくことが大切あり、伊藤氏もその考えを理念としているそうです。ですのでこのような考えを支持する団体、人達に食べてもらいたいと考え、納期ありき価格ありきの一般小売店には出荷はしていません。産地で精米しているのも、米ぬかともみ殻を堆肥として園地に戻すためであり、エネルギーとして地域に循環させることが大切だと話しておられました。

 今大切にしていることは、地域で環境を守りながら農業を営む仲間を増やしていく事、後継者の育成であり、農業学校での指導にも出向いておられます。また交流を大切に考え、「田んぼの生き物観察会」を主催したり、生活クラブをはじめとする生協組合員との交流会に出向いています。また地元小学校の給食に食材提供を行っています。今後の展望としては外注している鶏のパック詰めなどを地域の仕事として生み出して、農業の仕事を作り出していく事だとお話ししてくださいました。

【訪問者のコメント(全体を通して)】

 一般的な農業は省力化、経営効率を高めるためにどうすればよいか?という着眼点が主流の中、モデルケースのない、グループを作って地域で循環型農業を行っていくということにチャレンジし、販路を開拓し成功している米沢郷牧場と赤とんぼ。そのエネルギーの源は「地域をよくしたい」という熱い気持ちだそうです。伊藤氏の話にはいつも共感していましたが、それは根底にある「地域をよくしたい」という考えは生活協同組合の目標の原点と同じだからなのでしょう。 私たちは同じ方向性を持っているからこそ、赤とんぼの取り組みが理解できるのだな、登録して米を食べ、果物を予約する組合員が取引開始以来20年以上続いているのだな、と思いました。これからもお互いの「大切にしたいこと」「今問題だと思っていること」を話し合う機会を持ち、次の世代が安心して食べられるように米沢の地で農業を続け、それを私たちが約束して食べる、という関係を紡いでいきたいと思いました。私たちが考えることは一つ、「何にお金を払うか?が未来を決める」ということです。

以上


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