F・C(ファーマーズクラブ)赤とんぼ 訪問視察、塩水選作業体験報告①(2018年3月23日)
生活クラブ生協大阪の米沢郷米とラ・フランスやさくらんぼの生産者団体であるF・C赤とんぼと米沢郷牧場。地域を挙げて循環型農業に取り組み、若い生産者が就農しています。無農薬米にも取り組む技術力の高さ、米や果物のおいしさ、地域を挙げて環境を守る農業を行っていることは、会員の皆さんが同じ志を持っているからこそだと感じていました。今回、農薬を減らす作り方のための塩水選や温湯消毒を体験する機会に恵まれましたので、ご報告します。
2泊3日かけての訪問体験のまず1日目です。
理事長 浅井由起子
○3月23日(金)
7時半 JR長尾駅に集合し出発(車両1台に相乗り)。
16時 山形到着。高畠駅前で米沢郷牧場・伊藤代表と合流。リムジン牧場(宮城県刈田郡七ヶ宿町)へ向かう。
レポート【七ヶ宿牧場(BMWプラント、堆肥センター)】
伊藤幸蔵代表の案内により、赤とんぼの生産者が米作りを始め循環型農業に取り入れているBMWプラントと堆肥工場を視察しました。BMW技術とは、自然の浄化作用をヒントに、バクテリア(B)ミネラル(M)ウォーター(W)をバランスよく活性化させて、病原菌など悪い菌をおとなしくさせて、良い菌を働かせる技術です。BMW活性水を使って米作りや果樹園に必要な堆肥を作りますし、循環型農業なので鶏の飼育もおこなっており飲水に利用、また、米の種子を漬けこんで活性水を吸収させて、農薬を減らす工夫をしています。
BMWプラントは15個ほどのタンクが置かれ、きちんと整備、掃除がされた空間でした。活性水のメカニズムや効能を知り尽くし、最大限に活用してきている赤とんぼでは、農薬をはじめとする薬剤を減らすためには、BMW活性水は必要不可欠で自信をもって説明されていました。実際、鶏舎に立ち寄りましたが、においが全くないことに驚かされます。向かい側には道の駅が後から建設されたとのことですが、におい問題が全くなかったことの証拠です。鶏の飲水に利用することにより、糞のにおい成分が減っていっていることが分析でわかっているそうです。
堆肥センターでは作り方を見学しました。広大な堆肥センターで、一次堆肥の場所は、鶏には尿がないので鶏糞にBMW活性水を混ぜる場所です。二次発酵の場所で36日かけて堆肥が 出来上がるようになっています。赤とんぼは化学する農業者だなあ、と常々思っていましたが、キュウリにはカリウムが多く必要だが、トマトにはあまり要らずリン酸のほうが必要など使う堆肥の必要な成分は作る作物によって違うそうです。そこで他の肥料を購入しないで、地域の大切な栄養成分ですべて賄えるように堆肥の成分を調整して、作物に合わせて作っているそうです。本当の循環型農業なのだと感じますし、「エネルギーはガスや電気だけではない」という伊藤代表の言葉に共感しました。地域にある有機物をうまく循環させることで豊かな作物を生み出すことができ、地域内で完結させることは、経済的にも地域を豊かにしている、ということです。
18時 米沢郷牧場菌体飼料工場(高畠町)を視察。
レポート【飼料工場】
循環型農業に不可欠な畜産は、現在は鶏のみ飼育しています。以前は牛を飼っていましたが、3,11の時に飼料の牧草の汚染など問題となり、以降はやめているそうです。
鶏の飼料のための飼料工場も、100%自家製の材料で作っています。鶏の飼育で薬剤に頼らずに、鶏の身体を強くするために乳酸菌を飼料に入れるようにしています。そのためにキノコの菌床でBM菌体を作り培養して米ぬかで増やしています。こうやって作った乳酸菌を、鶏は糞の上で暮らすので糞に入れています。私たちは赤とんぼの鶏を食べていませんが、この鶏糞を使って作った堆肥を使った米や果物をいただいているので、飼料工場も大いに関係があります。(毎年開催している生活クラブ生協フェスタでは、この鶏を使った焼き鳥を提供してくださっていますよ)
住んでいる地域の中でタンパク質としてのエネルギーを賄うことができていることはとても有意義だと胸を張っておられました。というのも、3,11の時に物流がストップしてしまい、飼料が来なくなったがために家畜を処分せざるを得なかった畜産農家が絶えなかった中、赤とんぼ(米沢郷牧場)では飼料工場があり、飼料米を持っていたために殺処分しなくて済んだ、ということです。「インフラを手放すと飼料が途絶えてしまうので、飼料工場を持っていてよかったと本当に思った」と話してくださいました。
19時半 赤とんぼ生産者、スタッフ、地元の生活クラブやまがたとの懇親会
報告②に続く