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パブリックコメントを提出「カルタヘナ国内法」改正にともなう省令等の見直しについて 「農作物を含むすべ

遺伝子組み換え作物の輸出入・運搬などによって、生物多様性に悪影響が出ることがないよう、国が2004年に定めたのが、いわゆる「カルタヘナ国内法」(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)です。2010年には名古屋で「名古屋・クアラルンプール補足議定書」が締結され、生物多様性に悪影響が出た場合の責任と修復のありかたについて国際的な合意がなされました。

この補足議定書を批准するために今年(2017年)4月、カルタヘナ国内法が改正され、この法改正にもとづいて省令等が改正されることとなり、パブリックコメントが実施されました。

法改正では、違法に遺伝子組換え生物等の使用によって生物多様性を損なうような影響が生じた場合、当該使用者等に対し環境大臣は、この影響による生物多様性に係る損害の回復を図るために必要な措置を執るべき旨を命ずることができるようになりました。

一方で、提案されている省令では、損害を回復する対象となる種を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」が規定している「国内希少野生動植物種」、対象となる地域を「国立公園の特別保護地域、自然環境保全法に規定する原生自然環境保全地域」などと、極めて狭く限定しています。

政府がこのように生物多様性を極めて限定的に規定すれば、生物多様性に損害があったとしても回復が図られるケースはほとんど皆無となりかねません。対象範囲を「農作物を含むすべての生物」に広げるよう、意見を提出しました。

生活クラブ生協大阪が提出した意見の全文は以下のとおりです。


[意見1]遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第三条第四号、第十条第三項、第十四条第三項及び第二十六条第三項の環境省令で定める種又は地域を定める省令案 第一条

 

・意見内容:環境省令で定める種は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に規定する国内希少野生動植物種としています。損害の回復を図る対象をこのように狭く限定せずに、農作物を含むすべての生物を対象としてください。

 

・理由:遺伝子組み換え作物の世界最大の輸入国である我が国にとって、遺伝子組み換え作物の輸入による損害は、目の前に迫った脅威と言えます。私たちが毎年行なっている遺伝子組み換えナタネの自生調査では、輸入された遺伝子組み換えセイヨウナタネが自生し、野草との交雑がすすんでいることが分かりました。このまま放置すればアブラナ科の農作物との交雑につながりかねません。

今回提案されている省令が定める種の範囲は、カルタヘナ国内法が規定していた生物多様性(在来の野生種)と比べてもはるかに狭いものであり、農作物と遺伝子組み換え作物とが交雑したとしても回復が図られないばかりか、例えば、現状においてカルタヘナ国内法にもとづく生物多様性評価の対象となっているツルマメに損害があった場合すら、回復の対象となりません。

生物多様性条約では、「生物の多様性」をすべての生物を含むものとして以下のように定義しています。「『生物の多様性』とは、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息または生育の場のいかんを問わない)の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性および生態の多様性を含む。」

また、カルタヘナ議定書の第一条では、その目的を人の健康に対する危険を含む幅広い悪影響を予防し、生物多様性を保全することとして、以下のように定めています。「現代のバイオテクノロジーにより改変された生物であって生物の多様性の保全および持続可能な利用に悪影響(人の健康に対する危険も考慮したもの)を及ぼす可能性のあるものの安全な移送、取り扱い、および利用の分野において十分な水準の保護を確保することに寄与することを目的とする。」

生物多様性条約の定義やカルタヘナ議定書の目的と大きくかけ離れた今回の省令案はとうてい容認できません。生物多様性の規定から種の限定を削除し、復元の対象となる「損害」の範囲は、農作物を含むすべての生物としてください。

 

[意見2]遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第三条第四号、第十条第三項、第十四条第三項及び第二十六条第三項の環境省令で定める種又は地域を定める省令案 第二条

・意見内容:環境省令で定める地域に限定せずに、農作物を含むすべての生物の生息地を対象としてください。

理由:環境省令で定める地域は、原生自然環境保全地域、絶滅のおそれのある動植物の生息する地域など、とても狭く限定されています。上記の意見1と同じ理由で、生物多様性の規定から地域の限定を削除することを求めます。

 

以上

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